エプソンプロセレクションの新製品レポートや、製品の使いこなしなど。写真家ならではの視点から、写真プリントに役立つ情報をご紹介します。
増田賢一スペシャルレポート
1PX-5600とPX-G5300 2プリントテクニック 3プリンタへの期待
p r o f i l e
ますだけんいち。
月刊『CAPA』を初め多数の雑誌・書籍で撮影・執筆、また写真展を開催するなど、多方面で活躍。専門は女性ポートレート。グラビア写真におけるデジタル入稿も早くから実践してきている。フィルムスキャン歴は1995年より。1996年3月から始めたホームページ「MAKKEN PHOTO LABORATORY」( http://www.makken.com/)では、ポートレート作品のみならず多数の作品を発表している。
―今回はPX-G5300とPX-5600、双方のプリントクオリティについておたずねしたいと思います。まず、先頃発売になったPX-5600ですが、使ってみた感想をお聞かせください。
増田 このプリンタでの仕上がりはスタンダードではあるんですけど、そのスタンダードのレベルが高く、ニュートラルさがしっかり出ていましたので、すごく扱いやすいです。僕はいままで雑誌の記事などで様々な機種を使い込んできたんですが、個人的にはPX-G5000が好きで、メインに使っていたんですよ。2つを比べてみますと、もちろんクオリティは上がっていますが、使い勝手の良さは引き継がれている感じです。私は光沢紙ばかりを使っていますが、光沢感のムラのようなものも気にならなかったのが決め手でした。
―なるほど。一方でPX-G5300はどうでしょうか?
増田 透明感のあるプリントが特徴的ですよね。ガラス質のようなクリアな感じが気に入っています。僕はポートレートの作品を主に撮っていまして、しかも、スタジオではなくてそのほとんどが屋外で撮影します。自然や街の中にいる人物を撮ることが多いのですが、そこでは現場と人物、トータルの調子を見てプリントをします。特に青空なんかがポイントになってくるのですが、青空に求める透明感を出すと綺麗だなと思いました。また、ポートレートの現場では結構逆光で、背景を白っぽく飛ばして撮ることも多いのですが、写真のフチが白く飛んだりしている時も、グロスを載せることで紙の地の色とわずかに違うトーンを出してくれます。これが結構嬉しかったりします(笑)。

―PX-5600とPX-G5300を使い比べてみた感想をお聞かせください。
増田 そうですね。この2つ、どちらがいいとか悪いとかではなくて、出来たら写真の用途によって使い分けるといいのかもしれないなって思いました。PX-G5300はパッと見た時に、まるで染料プリンタでプリントをしているような透明感と鮮やかさを持っています。青空なんかもコントラストがつきやすいです。一方では、ちょっと軽い印象も持ちます。いかにもデジタルっぽくなってしまいがちなんですね。ですので、抜けの良さを強調していきたい時はPX-G5300を使っていきたいなって思います。スタジオとかで撮ったモデルの肌色だけを綺麗に撮った写真などをプリントするには最適なのかもしれません。
PX-5600はそういう点では色がしっとりと重厚感を持ってプリントできるプリンタです。色の深みはこちらの方があるのかもしれません。質感を出したり、色に忠実なプリントをするには使いやすいです。僕も色々なプリンタを使っていますが、空の奥行きを出したい時はこちらがいいと思います。思い通りのプリントを作り出しやすいプリンタですね。

―比べてみると違いが一目瞭然ですね。
増田 そうですね。見比べるとPX-5600の方が少し現場の空気とか湿度を感じる仕上がりのように見えます。PX-G5300の方がクリアで軽い印象の仕上がりですが、PX-5600より劣るかというと全くそうではありません。見る人によってはこのクリアな写真の方が綺麗だっていう人もたくさんいます。モデルの子にプリントをあげることは多いですけど、その時もPX-G5300のプリントは好評だったりしますね。ですので、これはそれぞれのプリンタが持つ個性ですね。この個性を把握して使い分けることが出来れば最高なんじゃないかなって思います。